こんにちは。しらたまです。
今回は・・・やっと!!念願のミュージカル『スリル・ミー』大阪公演を観劇してきたので感想を書いていこうと思います。
『スリル・ミー』あらすじ
物語は、34年前に静かに遡っていく――。
監獄の仮釈放審議委員会。
収監者“私”の5回目の仮釈審議が進行中である。
34年前、“私”と“彼”が犯した犯罪。19歳の“私”と“彼”。
ある契約書を交わした2人。
彼らに一体何が起きたのか。“私”と“彼”
公式ホームページより
衝撃の真実が明かされていくーー。
キャスト
私/木村達成
彼/前田公輝
ピアノ/落合崇史
全体感想
!!以下ネタバレを含みます!!
↓ ↓ ↓
観劇沼に落ちてからずっと観たいと思っていたミュージカルの一つ『スリル・ミー』。
一台のピアノとふたりだけの登場人物で織りなすミュージカル。しかも実際に起きた事件が元になっている・・・。という私は今まで観たことがない作品で、上演が決定してからずっと楽しみにしていました。
まず、舞台セットは階段と黒い床(板?)、サイドには鉄柱。ランプと椅子、タイプライターのみのシンプルなセット。黒を基調とした重厚感のあるセットが重々しい空気を醸し出していました。
開演するとまず、ピアニストが登場。ピアノが始まってしばらくすると、「私」が登場し、審議員の質問に答えるシーンから始まります。
そこから34年前に遡り、事件の真相が明らかになっていくのですが第一印象は、
緊張感がすごい!!!
でした。
もうドキドキです。自分の心臓の鼓動を感じました。
「彼」がイラついて鉄柱を蹴る音や、舞台天井からバッグが落ちてくる音が張り詰めた空気を突き破るように響いてきて心臓に悪い・・・!!!
そして「私」が不憫すぎて心が苦しくなる・・・。と思いきや・・・。という怒涛の展開すぎて気が休まりませんでした。
ずっと頭が働いていたのと、「なぜ?」という箇所が多かったのもあり、観劇後も考えさせられる作品でした。観客の捉え方で物語が大きく変わる作品って観劇仲間同士であれこれ話するとお互いの捉え方の違いが見えて楽しいですよね。
木村達成×前田公輝ペア感想
「『スリル・ミー』はペアによって受ける印象が全然変わる」とSNSで皆様が書かれていたので、今回2ペア観劇してきました。(本当は全ペア観劇したかったのですがスケジュールが合わず・・・)
まずは、木村さん×前田さんペア!!それぞれから受けた感想とペア全体の感想を書いていきます。
木村達成/私
「彼」に自分の気持ちを伝えるときにスーツの裾を握る癖。そこはかとなく感じる気が弱い高校生男子感・・・。そしておぼっちゃま育ち特有の嫌味なく「彼」を傷つけるような発言をしてしまうところ、木村「私」は、まだ世間というものをあまり理解できていない等身大の19歳だな、というのが第一印象でした。
ただ、「彼」への思いはかなり強引な時もあり・・・。とにかく「彼」への執着心と献身がすごい。
そして木村「私」の「彼」をみる表情や仕草など、演技が細かい!!木村さんを観るといつも思うのですが、歌、お芝居はもちろんのこと目線だったり手癖だったり、役を自分のものとしてかなりしっかり落とし込んでいて、すごいなぁ・・・と思います。
「彼」に触られると嬉しそうに笑ったり、冷たくされると悲しそうな顔をしたり、「彼」にいいように扱われる「私」が不憫で観ているこちらも感情移入して心が苦しくて・・・。
だからこそ、物語終盤では「どんでん返された!!」と衝撃がかなりきました。
サイコパスだったのは「私」の方だったのか!という衝撃。
え?あんなに不安そうにしていたのも、死体が発見されてあんなに焦っていたのも演技だったの?実は心の中めちゃくちゃ冷静だったの?
え、怖っ!!
「彼」とずっと一緒にいるために「私」が先に逮捕されるように仕組んで、99年刑務所にいることを選ぶなんて常人の理解を超えている・・・。あ、2人は超人だからわからなくて当然か。
木村私の自由を手に入れた後の笑顔からのいきなりの真顔、どういう意味だったんでしょう。自分が犯した罪への罪悪感なのか、それとも「彼」の呪縛から解き放たれた開放感とある種の失望感なんでしょうか、もしくは全く違う感情なのか、考えさせられますね。
前田公輝/彼
前田「彼」は、一見典型的なサイコパス、という印象ですが、家族(父親のみ?)に愛されなかった寂しさや自己肯定感の低さを心に抱えている人、という印象。
だからこそ、「私」の「彼」に対する絶対的な献身に心地よさを感じているような雰囲気を感じました。
「私」に対して冷たく突き放すような言葉でも、優しく話しかけるので、「あれ?心がある?」と思うこともしばしば。特に誘拐を思いついた後から、死体が発見されて「私」が警察に連れて行かれるところまでは「あれ?なんか無駄に優しくない?」と感じてしまいます。前田「彼」は声が中音で話し方が柔らかいのでより一層優しく感じるのかもしれませんが・・・。
こんな話し方されたら「私」もこっち向いてくれるかも。てなっちゃうかもなぁ、でもこの雰囲気もわざと醸し出している可能性もあるから怖すぎる・・・。
案の定、「私」が警察に連れて行かれてからは罪を押し付けようとしていたわけですが、「彼」も警察に捕まり、「私」に司法取引を中止するように迫るシーンでもやっぱりどこか「私」に対して一定の愛情があるように思えるんですよね・・・。
ただ、私が感じた「彼」の愛情は、あくまでも「私」より「彼」の方が立場が上、と思っているからこその余裕が生んだものだったのかも・・・。
全ては「私」が「彼」と永遠に一緒にいるための計画だったことを知り、「私」と「彼」の立場が逆転した時から「彼」の「私」への愛情が完全になくなったと感じました。飼い犬に手を噛まれたという感覚でしょうか。
今思うと2回目のキスの時からもう「私」と「彼」の立場は逆転していたんですねきっと。
ペア全体感想
木村さん×前田さんペアは、ある意味で爽やかさを感じました。
物語はもちろん残酷で重たいのですが、なんというか、等身大の若者という印象が強かったです。
「彼」の自分の思い通りに「私」を動かしたいという気持ちや、「彼」のいう通りにしたんだから見返りが欲しい、という「私」の気持ちはなんとなくわかる・・・。
もちろん犯罪に共感するところは1ミリもなかったですが、人間の根底にある「愛されたい」「認められたい」という部分は誰しももっている感情だと思います。
木村さんも前田さんも表情が豊かで声が中音、背丈も同じくらいでペアとしてはかなりバランスがいい!!
あと、歌も声量ちょっと抑えて会話の延長線上として持ってきている印象。この舞台は歌い上げるというより、会話の中に歌がある、という印象が元々あったのでなるほどと納得。
木村さんは何回か出演舞台を観劇しているので演技力と歌唱力はやっぱりさすが!ビジュアルも最高!
そして前田公輝さん、2021年版「ロミオ&ジュリエット」を観劇した時以来だったのですが、演技力はもちろんのこと歌も甘めの声なのに、力があって素敵でした!!
今回のペア、2人とも表情作りがかなり細かく、色々と見逃した気がするのでできることならばもう一回観たかったです。
同じ日に尾上松也×広瀬友祐ペアを観劇してきたので、また後日感想を上げたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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